沖縄県立伊良部高等学校

挨 拶

沖縄県立伊良部高等学校の閉校にあたり、ご挨拶を申し上げます。

 「一人の博士よりも百人の心身健全な子ども」を作り出す、「地理的に離島であっても教育に離島僻地があってはならない」という確固たる信念のもと、8年間にわたる官民一体となった熱情的で厳然たる県立高校誘致運動が実を結び、昭和59年4月、県下55番目の県立高校として本校が開校いたしました。

「離島の振興は教育の振興なくしてはあり得ない」と本校に多くの期待を寄せるとともに、「我らが伊良部高校」として地域の皆様より多くの支援をいただいております。昭和60年度より平成13年度までの「伊良部町助成米国ホームスティ派遣」、伊良部島珊瑚礁生物ミニ標本館設置、放送施設や野球部創設における助成、そして生徒の派遣に際しての支援等、本校教育活動のあらゆる場面においての地域の支援は、本校生徒の活躍の原動力となり実り多き高校生活への導きとなりました。

本校を学び舎とした2,175名の卒業生は「小さな島から大きな挑戦」を合い言葉に県内はもとより九州・全国レベルでの活躍がありました。「伊良部高校ここにあり」とその名を全国に馳せ、本校及び伊良部島に自信と誇りをもたらし、本校37年の歴史に栄誉をもたらしました。

男子バレー部全国大会6回出場、ビーチバレー部全国大会3回出場、陸上競技走り高跳び九州・全国大会連続出場、九州・全国弁論大会出場、税の作文国税庁長官賞3回の受賞、英検2級文部大臣賞受賞、珠算競技九州大会派遣、生物クラブ・化学クラブ九州大会派遣、記憶に新しいICT部は3年連続全国大会へ派遣され、2年連続団体3位入賞を果たしております。活躍をあげると枚挙に暇がありません。卒業生全員の、高校3年間の活動の集大成の一つを進路実現にみるならば、本校の進路決定率は設立当初より、県内トップクラスを維持し、近年に至っては平成27年度より進路決定100%を6年連続達成しております。「文武両道」を実践し、活力に満ちた充実した高校生活を送り、自らの人生を進取の精神で切り開いております。

また、教職員においても、数多くの文部科学省、沖縄県教育委員会の研究指定を受けての精力的な研究と実践がありました。研究成果の一つとして、平成15年度より現在に至るまで伊良部・佐良浜両中学校(現在は伊良部島中学校)との連携型中高一貫教育を実施し、本校教育活動の特徴的な取り組みとして成果を上げております。さらに、PTCA活動も天晴で、平成20年度文部科学大臣賞を受賞しており、その活動は本校PTCA活動の伝統として保護者が少数となった現在に至るまで脈々と引き継がれました。

社会の変化や伊良部島の変様、少子化、生徒の多様なニーズ等から、本校生徒数の減少に歯止めをかけることが出来ず、閉校を余儀なくされました。本校の閉校は、設立に関わった関係者の皆様、本校卒業生、保護者、本校に在職した教職員、本校に熱い思いを寄せ、ご支援をいただいた皆様には筆舌に尽くせぬ思いをもたらしたと拝察いたします。県立伊良部高等学校は廃校となりますが、本校の歴史は本県県立高校の歴史に確かに刻まれました。

今後は本校の伝統と歴史を同窓会が引き継いでいきます。本校同窓会が本日を新たな旅立ちとし、会員の絆をさらに深め、「伊良部高校の歴史」を「伊良部高校の名」を語り継いでいくことを心より願っております。また、「自主・誠実・創造」の建学の精神を引継ぎ、積極的で躍然たる同窓会活動を展開し、「伊良部高校ここにあり」と継続・進展していくことを心より期待しております。

結びに、これまで本校に関わりを持たせていただきましたすべての皆様に深く感謝を申し上げます。今後とも県立伊良部高等学校同窓会に暖かいエールを送っていただけますようお願い申し上げます。皆様の今後の益々のご健勝・ご発展をご祈念申し上げ挨拶といたします。有難うございました。                                                                              

令和3年3月6日  
伊良部高等学校  
校長 大宮 廣子